シグナル

鬱々と、蒼々と.

安部公房『箱男』

 図書館が開いてる!と喜んで行ってみたら本棚までビニルシートに覆われていた。
訊いてみると「本の貸し出しは事前にオンラインシステムの予約が必要です」とのこと。\ナ、ナンダテー!/

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ションボリ帰宅

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そういえば…と思い立って、やっと昨日読み終えました。

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安部公房は「友達」を読んで面白かったので、楽しみに開いたのですが…、前半読み進めるのが大変でした。
全然理解できている気がしない。あらすじを整理しようと思ったけど、シーンが飛んだり、関係性が一見分からないようなエピソードが入ってきたりで「…これ説明にならんわ…」と思ってしまいました。
前半では手記という形で主人公の「箱男の主観が綴られています。

前半あらすじ
元カメラマンの主人公"ぼく"は3年前から頭からダンボール箱を被った「箱男」をやっている。
その"ぼく"に、「箱を5万円で買い取りたい」という"彼女"があらわれる。
そんな中、ある日"ぼく"は、空気銃をもった男に肩を撃たれる。ぼくは男を追いかけて証拠写真を辛うじて撮るが、見失ったところを背後からお金を箱に投げ込まれる。お金を投げ込んだのは"彼女"で、「坂の上に病院があるわ」と言い残して自転車で去っていく。
"ぼく"が病院を訪ねると、"彼女"と"ぼく"のように箱をかぶった医者の"贋箱男"がいる。"贋箱男"は"ぼく"を空気銃で撃った男だった。"贋箱男"は"彼女"と"ぼく"の行為を覗かせてほしいというが、拒否する"ぼく"と"箱男"は箱男の存在について口論になる。

・・・酷い粗さですが、前半のあらすじはこんな風…。
途中途中で「箱男」になる方法、箱男を憎んでいたがその後自らが箱男になったAの話、とある浮浪者の記事、"ぼく"が撮影した街の風景(言葉付き)、贋魚になった"ぼく"の幻想が挿入されます。
書いてみるとなんてことないが、何で苦戦したのか…恐らく、筆者の文章、私が苦手なタイプなんです。キャーぶたないで!!
安倍公房の文章、自分的に言うと「理系脳の人が書いた文章」だと思うんです…。重箱の隅をつつくような描写が多いので、どんどん頭が重たくなっていく。。
「友達」は戯曲だから、そういった過度な描写がないのでサクサク読めたのかもしれない(ト書きを読んで、「ほ~ぉセットの拘りがすごいなぁ」と感心したぐらい)。文章の行間を読むのが好きな人間なこともあって、前半は苦戦しました。時間の供述や写真の意味も殆ど分からず…。何なんだろう、詩的そうに見えて、そうでないような…(あくまで頭の弱い私の考えです)

 

後半あらすじ
後半はダンボール箱を被って、とある海岸に打ち上げられていた変死体について、ある男C(=前半の"贋箱男")の供述から始まる。
Cは戦時中、軍の衛生兵として"軍医殿"(=海岸の変死者)の元で働いていたが、"軍医殿"は重篤になり、その苦痛を和らげるためCによって投与されていた麻薬の依存状態に陥った。戦後はCが"軍医殿"の代わりに診療を行い、"軍医殿"の妻"奈奈"と3人での同居生活を送っていたが、"軍医殿"の容態は悪化し、要求が徐々にエスカレートしていく(麻薬の量をを増やせとか、見習の看護婦"戸川葉子"を裸にさせろ云々)。Cは変死体が"軍医殿"のものであることを示唆する。
この後、"軍医殿"と思われる"ぼく"がCに殺される前の手記に続き、覗きが見つかり罰を受けた学生Dの話、婚礼の儀の直前に立小便姿を見られて花嫁に逃げられたショパンいう男の話、ある男女の恋愛についての話が続く。
そして最後、「箱」というものの中でどんどん迷い込んでいく"ぼく"と"彼女"の話で終わる。
かなり端折ってますが、後半は視点がどんどん変わってテンポも上がるのでどんどん引き込まれました。
理解できた気はしませんが、結局、一つの物事において見るものと見られるもの(覗く/覗かれる)とでは立場も感情も見えてくるものも違ってくるが、何が真相なのかはそれを求めても到達できない(一方でその全てを放棄する術もある)―という事なのかなとボンヤリ思いました。
きっと読み直したらまた違うんだろうけど、前半が…それにこれ借りたものだった(๑´ڡ`๑) 最低です。
人様のブックカバーチャレンジを見て「私、アメリカ文学全然知らん…」となったので、図書館で予約してみた。どうなることやら。読むぞ~٩( 'ω' )و